若い頃は、可愛らしい雰囲気を持っていて、すらりとスタイルが良い女性になりたいと思っていました。
ぱっちり二重は欠かせないところですし、長くて真っ直ぐな髪の毛にも憧れていました。
そして、何より重要なのが体型です。

美を求めるのなら、決して太ってはいけませんし、ウエストや脚も細くなくてはならないと思っていました。
たぶん、多くの女の子がそう思っていたのではないでしょうか。

可愛くなければ意味が無いとか、綺麗でなければ幸せにはなれないと本気で思い込んでいたこともありました。
しかし、不思議なものです。
年齢を重ねた今、それらが私にとって全く意味の無い事になっています。
誰かを見る時も、外見はどうでも良い事になっています。
それよりも、考え方や物の味方等の方が意味を持っているのです。
それに、やっぱり色々なスキルを身に付けて、イキイキと働いている女性に魅かれます。
化粧っ気が無くても、ファッションにあまりこだわりが無い方であっても、その人の周りにその人を慕う人がたくさんいる。
そんな方を、心から羨ましく思います。

この心の変化に気が付いた時、なぜでしょうか、とてもおかしく感じました。
あれほど欲しいと思っていたものが、年齢と共にこんなにも変ってしまうのです。
もし欲しい物は何ですかと訊かれたら、私が答えるものは全てお金では買えない物です。
それらは、自分で何とかして身に付けたり手に入れるものばかりです。
これから何年生きていくのか分かりませんが、できれば一つ一つゆっくりと手に入れて行きたいと思っています。

キッズインナーのデザイナー

私の仕事はデザイナーです。入社してすぐに配属されたのは商品開発部でした。
ここでは素材やパターンについて仕事を通じて勉強できました。

この春、社内移動があり、キッズ商品のデザイン担当になりました。
その中で私が一番やりたかったのはキッズインナーです。

まず成長期のキッズの体型を測定したデータを集めます。
これは一番時間がかかります。
トータルで1万人のデータを集め、年齢と男女別に分析し、標準体型を作り出すのです。

このデータ化で10年前のデータは当てにならない事がわかりました。
子どもの体型も欧米化しており、日本人のスタイルも年々良くなっているのです。

このデータを参考にパターンをおこして、サンプルを作成します。
それを100名のモニターに試着してもらい何度もパターンとデザイン修正をかけてキッズインナーを完成させます。
この積み重ねが重要で、必ず他社にはない着心地のインナーを作ります。

ところが売れるのは、やはりキャラクターもの。
キャラクターのパワーは絶大で、その気になってしまうという子ども特有の感性を巧みに突いた表現が出来れば、たちまち売れてしまいます。

しかし、着心地が悪いようなものは商品化出来ませんので、材質や耐久性などにも気配りします。
キャラクターものは、どうしても価格が上がってしまうのですが、これはキャラクターそのものに経費がかかるためだからです。