私の友達の美保ちゃん。
小学校のクラス替えで一緒になったのが友達の始まりだったと思うけれど、仲良しになってからは何でも同じ物を持ったり、一緒に買いに行ったり、時にはお互い自分の母に頼み込んで、お揃いチックなスカートやら手提げバックやらをミシンで作ってもらったりもした。

さすがにやりすぎかもしれないが(笑)でもそれが楽しかったし、仲良しの印?みたいなものでもあったのだ!
クラスが離れてもお揃いを持っているから全然寂しくもなんともなかったの!

そのまま中学生になり違う部活動に入り、部活の友達もでき初めてきた頃から私はなんとなく、お揃いじゃなくてもいいかなこれは!と言うアイテムがポツポツ出だして、それが増えていき、そのうちお揃いがキライになった。

今までハマっていた反動だと思う(笑)でも自分なりに解釈すると、個性がでてきたじゃないのかと思う。オリジナルだからいいのだ!とか思ったりした。
でも美保ちゃんはまだずっとお揃いを持っていたいと言った。

気持ちはわかるけどやっぱり私は自分の好きな物が持ちたかった。

そのうち美保ちゃんは、私が持っている物と同じ物を買ってくるようになった。
ペンだったり下敷きだったり、洋服だったり、何でも私が持っているものを欲しがった。
それでも私達はそれなりに上手く友達をやってきた。

高校生になった。
別々の高校に進んだ私達は久しぶりに再会する事になった。
カラオケに行ったりプリクラを撮ったりしてとても楽しかった。

次はお互い彼氏も連れてきてダブルデートしようなんて約束して別れた。
そして夏休みにダブルデートをした。

結果から言うと、美保ちゃんは私の彼氏さえも欲しがった。
自分にも彼氏がいるのに、私の彼氏までも欲しがった。
きっとうまいことを言ってこっそり連絡先でも聞いたのだろう。

後からそんな事を知った私は、気持ちが揺れ動いてしまっている彼氏にも心から幻滅し、別れた。
どんどん私の大切な物を、人を略奪していくのだ。

それから2人は付き合ったと聞いた。
何年かして私は遠く離れた土地で結婚をした。
誰も知らないところに嫁いだから不安でいっぱいだけれど、美保ちゃんから離れたい気持ちもあった。

誰も知らない方が都合がいいことだって沢山あった。
私は今とても幸せな暮らしをしている。
けれど心のどこかに、またこの幸せな生活を美保ちゃんが略奪しに来るのではないか、と怯えているのも事実である。