今どき、珍しくないのかもしれない。
10個の年の差なんて。でも、年の差以前の問題だよね。
今の時代でも絶対にタブーだ。教師と生徒の恋愛なんて…。
最初は、ただのおじさんだと思ってた。無精ひげは生やしてるし、タバコは吸うし、いつもカップラーメン食べてるし。
でもあの日、私と彼は恋に堕ちてしまった。
いつもの日常、歴史の教師なのになぜか音楽室の横に彼専用の部屋があって(名目はカウンセリングルームだった)、ブラスバンド部の私は、いつもそこでみんなとだべってた。
でも、あの日は他のみんながなんだか予定だらけで、早々に帰って行って、家に帰っても暇な私が一人残ってた。
ついつい彼との話が盛り上がって、なんてない他愛無い話だったんだけど、趣味が合うんだよね。
気づいたら、外は真っ暗になってた。
「ごめんっ!さすがに送っていくわ!」
学校の外の彼を見たのは初めてだった。
車の狭い空間に二人になって初めて気づいた。
私、彼の横顔とか声とか大好きだった。意識して初めて気づくなんて…。
ドキドキしすぎて、家の案内を間違えた私のせいで、いつも間にか夜の海に出ちゃったんだよね。
「ちょっと降りるか。」
きっと、この時から彼も素になってた。
どちらかともなく手を繋ぎ、何にも考えずに唇を重ねた。時間が止まったみたいだった。
そんな日から半年。タブーについては考えないようにして、今でも私たちは学校の外でだけ恋人でいる。
きっと、考えてしまったら終わってしまう関係。
もう少しだけ…。この気持ちに蓋をしたくなんてない。
大人になるということ
先生。
そんな呼び方、気持ちが通じてからはしたことなかった。
学校では、わざと避けて呼ばなくていいようにしてたから。
だから、敢えて呼ぶよ。先生。
今まで私といてくれてありがとう。
私は、あなたに追いつけるように大人になります。
誰にも何も言われないぐらいに大人の女になって、きっとあなたにまた気持ちを伝えに行きます。
だから、それまで待ってて。誰かと結婚なんてしてたら承知しないからね。私は、先生がどんなおじさんに成り下がってたとしても、大好きだから。
だから、今はあなたの提案を受け入れます。私の気持ちは、いったんここで終わらせます。
忘れることなんてできないから、毎日胸に抱いて、いつかまた会うその日を楽しみに自分を磨きます。
先生、本当に大好きだよ。ありがとう。
わかってた。
いつか終わらせなきゃいけないってことは。だって、タブーだとわかってて止められなくて、わざと話題に出さないようにして目をつむってきたんだもんね、お互い。
本当に楽しかった。幸せだった。
あなたといると、私も少し大人になれたし、あなたも少し子どもに戻ってたよね。きっと合ってたと思う。
遊ばれてたなんて絶対思わないし、あなたの本気もちゃんと伝わってた。だから、私は2年間も一緒にいれたんだと思う。
きっと、あの人たちは、あなただけを責めたんだろうね。
それがわかってたから、私は早く私が去らなきゃって思ってたんだよ。
なのに、あなたは私に黙って勝手に自分一人で責任取っちゃうんだもんね。
最後までカッコいいなんてズルいよ。うちの親にまで会っちゃってんだもんね。
そんなことも知らずに、あなたに突然別れを切り出された私はあなたに酷いことを言ってしまった。
本当にごめんね。
先生。絶対待っててね。きっと見つけ出すから。