「先生、方言になってますよ」という声が、隣の教室から聞こえてきました。
子供たちは大爆笑。
そうなんです。
これは私への言葉なのです。

私と隣にいる先生は、同じ地元なので、方言を使うとすぐわかってしまいます。
私たちは同じ理数系の学科を教えていました。
炊いては、彼がAクラス、私がBクラスを受け持っていました。
若干、平均実力は違いましたが、大体同じようなスピードで授業は進んでいました。
時間割もほぼ同じで、教室が隣り合うことがほとんど。
ですので、息抜きもかねて、たまにこんな会話をしていたのです。
私のほうも、「先生、ちょっとうるさいです」というようなちゃちゃを入れていました。
そして、走行しているうちに私たちは付き合うようになったのです。
そうなるとお互いのことがもっとわかってくるので、授業でのやり取りもレベルが上がります。
子供たちもそれに合わせて授業に興味を持ってくれていました。
理数系はなかなか興味をもってくれないのですが、できるだけ、生活に密着した内容になるように、二人で相談していたのです。
この時間はとても楽しく、ここまでやると子供たちにばれるかなとも思ったのですが、ばれることなく無事卒業していきました。
次の年は、学年が違ったので、こんな授業はできませんでしたが、今でも思い出すと笑いが出てしまいます。
毎年送られてくる子供たちの年賀状に、「先生にもよろしく」と書いてあったのをみて、やっぱりばれてたかと思ったものでした。

小屋から逃亡してしまったウサギ

私は小学生から中学生の頃までウサギを飼っていました。
家の中には室内犬がいたので、庭先の植え込みのところにウサギ小屋を作り、周りを柵で覆い放し飼いにして飼っていました。

とても自由にのびのびした子でごはんを食べる時のカリカリいう音がなんとも癒される音でした。
ふわふわの手触りは犬とはまた違う気持ちよさでした。
そんなウサギがある日、逃亡しました。
柵に壊れた所はなくどうしてと思いましたが、植え込みの土を掘り返して穴を掘り、そこから脱走してしまったのです。
誰もが予想していない方法だったのでとても驚いてしまいました。
同時にウサギなので帰巣本能もないのではないかと思い、もう会えないのかと途方に暮れていました。
一か八かで名前を家族で読んでみたら、ひょこっとウサギが出てきました。
そして私たちのほうにむかってとことこと走ってきてくれたのです。
とても驚きました。
普段は名前を呼んでも特に無反応だったので、まさか自分の名前を理解して、しかもこっちに走ってくるほどなついてくれていたのかと嬉しくなってしまいました。
それからは植え込みの周りにレンガを入れて自分で脱走できないように補強をしました。
小さい身体を私たちの手にこすらせてきてくれる姿はなんとなく、ウサギ本人も家に帰ってこれてほっとしているように見えました。
そのふわふわ感と可愛らしい姿は、ウサギもしっかりとなついてくれるんだなということを改めて感じさせてくれる姿でした。