同じ団地に住んでいたからか、小さな頃からいつも一緒になって泥だらけになるまで遊んだ幼馴染のゆう君とは、小学校、中学校、それに高校になっても気が付いたら同じ学校だった。
ゆう君はやんちゃで、スポーツはなんだってできた。
勉強はきっと嫌いなんだろうと思う。
いつも悪いことばっかりしていて、でも大人がつい許してしまうようなニヤっと笑うあの笑顔で、結局はみんなに可愛がられてきた。
あの笑顔はズルイんじゃないかと私だって昔から思っていたんだから。
中学生になった頃、お互いに好きな人ができた時、帰りながら相談しあったりした。
「えー!あいつの事が好きなの?センス悪っ!」
なんて言われたけど、最後には「まぁ頑張れよ!お前なら大丈夫じゃん?」とか言ってどこか優しい。
遊び相手でもあるけれど、私のよき相談相手でもあるのだ。
仲の良い女友達にももちろん相談するけれど、やっぱり女の子は優しすぎて本当に感じた事は言ってくれていないような気がする。
多分あいつが一番私のことを知っているんだろう。
でも私達の恋愛は、お互いにダメだった(笑)
「ダサいねうちら」とか言いながら花火した気がする。
高校生になってもお互い彼氏彼女もできなかった。
友達と遊ぶのが楽しかったし、バイトだって始めちゃったし、なんだか忙しいのだ。
でも連絡を取らなくても、高校も一緒だし帰りの方向も一緒だから顔は合わせていた。
ある時友達に「なんでゆう君と付き合わないの~?」なんてちょっとだけ言われた事がある。
今まで近すぎて気づかなかったけど、どうしてかな。
幼馴染だから?
友達に言われてからやたらと気になってしまって目で追ってしまう自分に気がついた。
あー、なんかこんな自分が恥ずかしいよ。
好きなのかもしれない。
でもこれは恋じゃなくて、幼馴染として、友達として、人として好きなのかもしれない。
はぁ。
久しぶりに一緒に帰った。
なんだか緊張してしまいうまく笑顔が作れない。
だめだな、私って(笑)
そんな時、ゆう君が急に「お前さ、俺と付き合えよ。」とサラっと言った。
心の奥底からドキっという音がしたのと同時に抱きしめられた。
やっぱり自分の事はゆう君が一番知っているのであろう、とまた思った。
この人とずーっと一緒にいれるんだ、と自然と笑顔と涙があふれた。