親友は遠距離恋愛をしていました。
新潟と関西。
会うにはとても費用がかかります。
地元つきあいであれば会いたい時にそんなにお金をかけずに会えますが遠距離恋愛はそうは行きません。

自分の貰う給与から計算して上手く遣わないと宿泊費も含まれるため高額なデートになりがちです。
そのため、彼女は3ヶ月に一度会ってデートする、というスタイルで付き合っていました。
彼女もアラサーでもうそんなにがっついた恋愛をする年齢でもなかったことと、仕事が専門職で忙しく、そのくらいで会うのがちょうどよかったのです。

そして今の時代は昔と違い、携帯もあればWEBカメラというものもあり、お互い動画で顔を見ながら話ができる時代なのでそんなに遠距離も苦痛ではなかったのです。

しかし、彼は違いました。
彼女より年上でもうすぐ40歳になるところでした。

家族からは家の跡継ぎをしてほしいといわれていたこと、そのためには今の仕事を止めて転職してしばらくは修業をつまないといけないこと、彼女と自分の年齢を考えると「結婚」という二文字もはずせないことなどがあり、彼女と考え方に温度差がありました。

そんな状態で3年ほど付き合い、マンネリ化してきたころ、別れ話はでました。
彼女が40が目の前に見えてきたことで今後のことをハッキリと相談してこない彼の煮え切らない態度に限界が来たのです。

一度、知らぬ間に距離を置いていました。
私は慌てて彼に連絡しどうなっているのかを尋ねました。
そしてこの内容を知り、彼を滅茶苦茶に叱りました。

ずっと年下の私でしたが親友を幸せに導いてくれる人だと信じていたのに何をしているんだ!と叱ったのです。
すると彼は言いました。

「転職をしたことがないので、跡を継ぐために転職するにも今住んでいる県にはその就職先がほとんどないんだ、だから彼女がいる関西に出ようと思うんだけれど40歳で未経験の県外の田舎から来た男を雇うような会社が、会社を退職してそっちへ行ってあるのか確証もないしどう動けば良いのかわからない。それを彼女に相談して無職の男になると知られたら別れられてしまうと思うと怖くて言えなかった」

そんな彼なりの苦悩を話してくれました。
私はそれを聞いて「それこそ!彼女に相談して一緒に協力してもらって成し遂げるべきことではないの?」と説教したのです。

彼は雷に打たれたようでした。
そして私はそれを彼女に報告し、彼女と彼、そして私で協力して転職先を探し出しました。

あれから7年経ちました。
今、二人は彼の実家の跡を継ぎ、昨年長女が誕生しました。
遠距離恋愛で大切なこと、それはお互いにしっかり、話し合うこと、です。