学生時代、年上の女性に憧れる男子が多いのはどこでも一緒だと思う。
私は、まさにそこにハマった一人だった。というか、その憧れを抱かれた対象だった。
私は、姉御肌で年下から慕われることが多かったのだけど、まさか憧れの対象になるなんて思ってもみなかった。
彼は、バスケ部の学年では結構モテる男の子だったから、私も知っていた。
だから、始め呼び出された時は、何事かとびっくりした。
もちろん、初めてちゃんと話したぐらいでいきなり告白OKなんてできないし、友達からということで納得してもらったのだけど、彼は本当に魅力的で、一緒にいるといつも主導権を握る私が引っ張られるという具合に男らしい一面があった。
私はすぐに彼を好きになり、次に彼から気持ちを伝えられた時はもちろんOKを出していた。
でも、所詮憧れは憧れ。男というものは、一時をすぎると、やはり年下や同級生の可愛らしい女の子に魅かれだすのは世の定めらしい。
私は、付き合って1年半で、彼に捨てられた。
私という彼女がいることは学校中に知れ渡っていたのに、それを知りながらも告白してきた後輩のいたいけな可愛らしさにやられたらしい(笑)。なんともお粗末な結末だ。
そして、私は見事に彼を引きずっている。意外に本気で好きだったらしい。自分でも思ってもみなかった。
性格上、その女に文句を言うとかそんな気持ちは生まれなかったけど、どう考えてもなめられたんだなということはわかったし、そんな女が性格がいいわけがない、そんなのに引っかかって彼はアホだなんて思ったりもした。
まぁ、新しい恋でもしてみるかな。
欲しくてたまらない
初めてだった。人の物が欲しくなったのは。
会社の先輩に呼ばれて、人数合わせで呼ばれた先輩カップルとその友人の席。
私は、先輩の横にいるのがてっきり彼氏さんだと思っていたので、私の隣に座った男性が完全にタイプで内心「来て良かったー!先輩に感謝!」と思っていた。
彼の年は3つ上で、近くの商社に勤めているエリート営業マンだった。
短髪ですらっと背は高く、爽やかで薄い顔、ハスキーな声、話すたびにどんどん魅かれていった。
そして、そこで先輩から衝撃の発言をされる。
「ねぇ、さっきから色々聞いてるけど、聞く相手間違ってるでしょ?そいつはうちの彼氏。(笑)」
顔が引きつるのが自分でわかった。
と同時に、もう後に引き返せないこともわかった。
その先輩の一言で一応は忘れようと思ってみた。
友人のちょっとチャラそうな男性の方に興味をそらしてみようと成り行きに任せてみた。
でも結局、二次会の最後、全員で連絡先を交換した時、心が弾んだのは先輩の彼氏との時だった。
そこからは、もうどうにでもなれという気持ちだった。
先輩にはもちろん内緒で、相談があると先輩の彼氏にメールや電話をした。
会社のこと、家のこと、今までの恋愛のこと、とにかく不思議がられないようにあらゆる相談事をした。
そして、優しい言葉をかけてもらって、ついに食事にまでこぎつけた。
もう後は玉砕して終わるだけだ。
その夜、私は先輩の彼氏に渾身の想いをこめて告白した。
「先輩がいるのわかっていながら、本当にごめんなさい。でも、初めて会った時からもう引き返せません。大好きなんです。」
「どうしようかね。」
「ごめんなさい。」
「いや、あいつに何て言ったら納得するかな?俺もどうしようもないんだ。もうあいつより君しか見えない。」
それからが、地獄の始まりだった。