私は彼に駆け寄り確認しました。
「あなたはそれでいいの?もう好きじゃないの?」
すると彼はこう言いました。
「好きだよ、別れたくないんだ、でも彼女が別れを望んでいるから別れるんだ。新しい彼氏はまだいないし、その間は彼氏でいていいって言ってくれてる」
私はその言葉を聞き愕然としました。
そんな付き合い方、あるんだろうか。
いや、そんな付き合い方で彼は傷つかないのだろうか?
「でも、それじゃあ新しい彼氏ができたとき、あなたはすんなり彼女とサヨナラできるの?それまでに気持ちを切る努力をするということ?」
私の中には彼への同情心が芽生えていっぱいでした。
そんな彼女の自分勝手な行動に付き合うことはないではないか、と心底苦しくなりました。
しかし、彼は首を横に振り笑顔で言うのです。
「まだ好きなんだ、だから別れたくない。でも大好きな彼女が別れてくれって言うんだったら俺は別れる。だけど、次の相手ができるまで横にいたっていいじゃない。彼女がそう望んでるんだから…それでいいんだ」
私は呆気にとられました。
そんなに好きなのか?
それとも彼女の言いなりになる彼には自分の意思と言うものがないのか?
私にはない感覚でそれ以上、二人の間に割って入る力はでませんでした。
その後、彼女は新しい彼氏ができ、前の彼が離れてくれないから両方と付き合っているけど、本命は今の彼氏なんだ、と忙しそうな口調で悪びれた様子もなく話してくれました。
とってもかわいいのだけれど「小悪魔」という言葉が私の脳裏をよぎりました。
小さなこどもの精神的なダメージ
子どもはいろいろな意外と精神的に繊細な部分があると気づかされた出来事がありました。
それは、娘がまだ幼稚園の頃でした。
割とおおらかで何事も気にしないタイプに見える娘が気にしたことは確かにと納得のいくことだったのです。
娘は、小さいころからあるおけいこをしていました。
一年に1回の発表会の為に、新しい曲を覚えて、クラスの皆で一生懸命練習していました。
そんな娘のクラスにいるある男の子は、レッスンの時にいつもふざけていて、全然練習をしていませんでした。
その子はもちろん注意されていました。
そして、皆と同じようにやるようにいつもいつも練習させられているのになかなかできませんでした。
そして、発表会当日。
レッスンのたびにしっかりと練習していた娘や他のお友達はもちろん上手にできました。
そして、いつもは全然練習していなかった男の子も発表会ではしっかりできたのです。
そこからが問題でした。
その日、主役のように皆から褒められ続けたのは彼だったのです。
小さな娘の心にはとても疑問がわきあがったようです。
いつも一生懸命やっていて発表会でも上手にできた人より、いつもはふざけていて発表会ではしっかりやった子の方が立派だというのだろうかと。
それ以来娘はその教室に行くのをやめてしまいました。
大人たちへの不信感が募ってしまったのです。
これは小さな娘に精神的なダメージを与えたのだとおもうとかわいそうでなりませんでした。